万教包容の御祭と七重塔

京都第二教区教化部長 伊藤 夏樹

今月七日は「万教包容の御祭」の日。本部が東京の原宿から山梨県北杜市へ引っ越した二〇一三年から、毎年〝森の中のオフィス〟の万教包容の広場で「七重塔」を前に執り行われている御祭ですね。昨年の御祭における総裁先生のお言葉から、その意義について少し復習しましょう。

これは何をきっかけにしているのかというと、谷口雅春先生に昭和七年七月七日に啓示された「万教包容の神示」によるのであります。生長の家は人類光明化・国際平和を目指す運動ですから、そのためには世界の宗教の共存が必須であり、それを説いた神示を根拠とするのであります。(機関誌『生長の家』二〇一九年九月号五頁)

次に、なぜ七重塔なのかを理解するために、同じく総裁先生のお言葉から、これが何を象徴するかを確認します。

七重塔は、七項目にわたって「すべては一体」であるということを象徴しています。(中略)
その「すべて」が、具体的にどんなものかを表現して理解するために、七重塔の形に表したということです。
それは七つの宗教、七つの大陸、七つの民族、七つの文化、七つの世代、七つの生命、そして七つの拠点でした。(同書 十二頁)

ここで七とは「すべて」「完成」を意味しますから、七重塔が示すところの項目の一番目、「七つの宗教」において「すべては一体」とは「万教帰一」の意味となります。同様に「七つの大陸」においては、世界の多様な国々が大調和する「国際平和」を意味することになり、「七つの民族」では「多様な民族の調和」、「七つの文化」では「多様な文化の調和」、さらに「七つの世代」では世代間に生長の家の教えが永遠に引き継がれる「世代間の調和」、「七つの生命」では多様な生物種が繁栄する「生物間の調和」、そして「七つの拠点」では、生長の家の運動が発展していく「拠点・組織間の調和と発
展」の意味となります。そしてすべてのものが中心に帰一して調和していることをその形に表した七重塔が、これらの意味を示している。(参考:『生長の家白鳩会 会員のしおり』)つまり上段の先生の御文章にあるように七重塔はまさに実相世界を表しているわけですね。

さて、この七重塔(縮小模型)が両丹道場でも設置されることになりました。具体的には、二階大道場の実相額手前正面に設置され、その手前にはさらに〝造化の三神〟の神霊符を納めた三社造りのお社が配置されます。(写真参照:「万教包容の御祭」の際には、両者の位置を入れ替えることになっています)これは日本での対応ですが、その要点を本部からの通達をもとに簡単に説明しますと、生長の家が万教帰一を説く教えであることを目で見てわかるようにすることにあります。
生長の家では、「あらゆる宗教の本尊の奥にある「實相」(唯一の真理)を礼拝の対象とするため『實相』の書を掲げる」ことになっていますが、その実相を仏教的に表現すると七重塔となり、実相の「ムスビ」の働きを神道で表現すると〝造化の三神〟となります。私たちはこれから実相額の前に七重塔と〝造化の三神〟を祭祀して、具体的に仏教と神道を象徴として、宗教の違いを超えて、その奥にある実相を礼拝するわけです。どうぞ皆様、状況が改善され、道場の行事などにお越しの節は、この意義を思い出しながら礼拝ください。詳しくはまた、別の機会に説明させていただきます。